防雪フードの材質には何を選ぶべき?5種類の材質について解説!
防雪フードなどのヤブシタ製品は、鋼板でできているものがほとんどです!
鋼板の中でも、ヤブシタは全5種類の仕様をラインナップしており、お客様が仕様をご指定される場合もあれば、こちらから状況に合わせてご提案する場合もございます。
防雪フードの仕様を選定する際、また設計事務所様などのお客様から仕様のご指定がない際、どの材質を選べばよいか迷ったことはありませんか?
今回は材質を選ぶ時の参考として、ヤブシタでご用意している各仕様の特徴について詳しく解説します!
ヤブシタでは5種類の鋼板をラインナップ
ヤブシタの防雪フードなどで使用している材質は主に鋼板、耐重塩害仕様鋼板、ステンレス(SUS)の3種類があります。
この3種類に加え、防音システムなどの一部大型製品にはZAM鋼板、架台や防雪ネットには溶融亜鉛メッキ仕上げもラインナップしています。
それぞれの材質に適した設置環境やメリット・デメリットがあります。
1.鋼板製

一般的な環境での使用を想定し、価格や製品ラインナップとしてもお客様に最もお使い頂きやすい通常仕様のことを弊社では鋼板製と呼称しています。
こちらは、溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)にポリエステル粉体塗装で表面処理を施した仕様です。
溶融亜鉛メッキ鋼板とは、錆に強くするために溶かした亜鉛を薄くコーティングした鋼板のことです。各機器メーカー様の室外機筐体などにも使用されている、耐食性・耐候性に優れた屋外で使用される一般的な薄板板金です。
表面処理について
ポリエステル粉体焼付塗装とは、ポリエステル製のパウダー状塗料を金属に直接付着させ、加熱し乾燥させて固める塗装法で、塗膜強度、耐食性、耐候性などに優れています。
鋼板と塗料の接着性を高めるためにプライマーという下塗り塗料を塗膜厚さ10~15μm塗布した上で、塗膜厚さ60μm以上のポリエステル焼付粉体塗装を施しています。
錆に強い溶融亜鉛メッキ鋼板ですが、さらに錆に強い仕様にするため、室外機と同色にし意匠的にも良くするために塗装処理を行っているものを鋼板製としています。
2.耐重塩害仕様 鋼板製

耐重塩害仕様鋼板製は、通常の鋼板製と同じく溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)を使用していますが、ポリエステル粉体焼付塗装の仕様を変えています。鋼板製の膜厚60μm以上に対して、耐重塩害仕様は塗膜厚さ80μm以上で表面処理をしています。
塗膜が厚い分、錆や傷に強くなり、海岸沿いなどの重塩害地区などでも錆びにくい仕様になっています。
耐(重)塩害仕様の基準について
海岸沿いなどの海風があたるような塩害地域は、空気中に塩分を含んだ水分が浮遊し、その水分が鉄に付着すると錆が発生しやすくなります。
そのため、各機器メーカー様は耐塩害仕様、耐重塩害仕様をラインナップに入れ、目安の設置環境や室外機筐体の塗装仕様などの基準を設けています。それに習い、ヤブシタでは各機器メーカー様の基準に合わせて耐(重)塩害仕様をご用意しています。
3.ステンレス(SUS)製

ステンレス(SUS)製は、SUS304素地(ステンレス鋼板)を使用した仕様のことです。
ステンレスは、錆びにくくするために鉄にクロムやニッケルを混ぜて作られた「合金」です。ステンレスに含まれているクロムには、鉄よりも酸素に結び付きやすい特性があります。鉄よりも先にクロムが酸化して形成した酸化皮膜がステンレスの表面を覆い、錆の原因となる空気からステンレスを守ります。たとえ傷がついてもクロムが酸化する限り酸化皮膜が再生する為、ステンレスは長期間錆にくく、美しい状態を保つことができます。
溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)よりも高価ですが、錆びにくい材質としてステンレス(SUS)製をご指定いただくお客様が多いです。
ステンレスが錆びる原因
そんな耐食性の高いステンレスですが、絶対に錆びないわけではありません。ステンレスが錆びる原因には、下記の点が挙げられます。
・塩素系に反応
ステンレスは耐塩性に優れていますが、海水や塩素系の漂白剤が原因で酸化被膜が破壊されることがあります。塩素系のものが長期間表面に付着する環境下での使用は注意が必要です。
・電食(電蝕)
電食(電蝕)とは、電気により金属が腐食することです。異種金属が接触することにより電流が発生し、電食が起こりやすくなります。
室外機に使用している溶融亜鉛メッキ鋼板とステンレスでは電位差が大きく錆びやすい為、ビスや指示金具などは材質を合わせるよう注意が必要です。弊社では鋼板製の製品には鉄のビス、ステンレス製の製品にはステンレス製のビスを付属し、電食が発生しないようにしています。
・もらい錆
もらい錆とは、砂鉄や細かな金属片がステンレス(SUS)製フードの表面に付着し、その金属片が錆びることでステンレスが錆びたように見えることです。
錆びているように見えますが、内部に侵食しステンレスが錆びているわけではありません。
室外機が雨が当たるような設置環境であれば金属片が洗い流される(雨水洗浄)ためもらい錆は起きにくいですが、設置環境により金属片が長期間付着したままだともらい錆に繋がります。
もらい錆のリスクが心配な場合、弊社ではステンレスと同様に耐食性の高い耐重塩害仕様鋼板製を推奨しています。塗装で保護され、金属片との電位差による電食も発生しにくい耐重塩害仕様鋼板製はもらい錆のリスクが少なく安心してお使いいただけます。
4.ZAM鋼板製(ZAM素地)

ZAM鋼板は、日本製鉄株式会社が開発した高耐食メッキ鋼板の1種です。亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)の3つのメッキ層を持つことから、頭文字をとって「ZAM」と名付けられました。
ZAMは溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)と比較し、10~20倍優れた耐食性を持つ材質です。その理由は、メッキ層から溶け出したアルミニウム、マグネシウムを含む緻密な亜鉛系保護被膜が形成されるからです。
引用元:日鉄日新製鋼株式会社 https://www-zam.nipponsteel.com/
高い耐食性の材質で素地のまま使用することが可能なため、塗装工程が省け低コストでご提案することができます。ヤブシタでは大型製品になりやすいビル用マルチエアコン室外機向け防音システムやモジュールチラー向け防音システム・遮音パネルなどの防音製品に使用しており、大型製品の中でも最も価格を抑えた仕様としてラインナップしています。
5.溶融亜鉛メッキ仕上げ(ドブ漬け加工)

室外機用の架台や防雪ネットなど、強度が必要な製品には熱間圧延鋼板の1種であるSS400を使用し、鋼板を切断・曲げなどの加工を行った後に溶融亜鉛メッキで塗装を行った溶融亜鉛メッキ仕上げ仕様をラインナップしています。
SS400のSSとはSteel Structureの頭文字で、構造物用の鋼材であることを意味しています。また、400という数字は引張り強さの最低保証値(MPa)を示しています。
表面処理について
溶融亜鉛メッキ塗装の仕様はHDZT 63です。HDZTとはJIS定めた規格で溶融亜鉛メッキの膜厚を表しており、63という数字はメッキの膜厚(μm)を表しています。
大きいプールのような槽に溶かした亜鉛と鋼材を入れ漬け込む処理方法のため、ドブ漬けとも呼ばれています。
溶融亜鉛メッキ処理を施した鋼材は、「保護皮膜作用」と「犠牲防食作用」の働きにより錆や腐食が発生することはほとんどありません。また、亜鉛と鉄の間に合金層といった層が強力に結合しているため、その他の亜鉛メッキ処理よりもメッキが剥がれにくくなっています。
溶融亜鉛メッキ製の防雪ネットが、どれ程の積雪に耐えられるかを確認する為に行った耐荷重実験の様子をYouTubeチャンネルに投稿しています。もしご興味がございましたらぜひご覧ください。
各材質の耐食性を確かめる試験

ヤブシタでは、製品の品質を確かめるために様々な試験を行っています。
約20年前、ヤブシタはボンデ鋼板と呼ばれる電気亜鉛メッキ鋼板を使用していました。しかし試験により錆びやすいことが発覚し、現行品の溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)を使用するに至りました。その中でも、ヤブシタが現在のラインナップを確立させるまでに行った2つの試験をご紹介します。
塩水噴霧試験
塩水噴霧試験は、金属材に塩水を連続噴霧して一定時間置き耐食性を調べる試験です。防雪フードの設置にあたり、塩害地域における腐食(耐食性)と塗膜の密着性を確認することを目的として実施。本試験はJIS Z2371に基づいた塩水噴霧試験を用いて連続噴霧を行いました。
この実験により、電気亜鉛メッキ鋼板(ボンデ鋼板)よりも溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)の方が耐食性に優れており、防雪フードなどの材質として適していることがわかりました。
【試験方法】
塗装した鋼板とクロスカットの傷をつけた塗装鋼板に、塩水を連続で噴霧して経過を観察。
実施期間:42日間(1,000時間)
比較材料:電気亜鉛メッキ鋼板(ボンデ鋼板)、溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)
塗装処理:下処理プライマー、上塗りポリエステル焼付粉体塗装、膜厚70μ
【試験結果】
⇒溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)
塗装仕様:1,000時間経過後も状態変化はありませんでした。クロスカット:経過336時間でクロスカット部分に薄く白さびが浮き上がり始め、時間の経過とともに白さびが濃くなりました。1,000時間経過後には端部にも白さびが発生していました。
⇒電気亜鉛メッキ鋼板(ボンデ鋼板)
塗装仕様:経過336時間まで変化はありませんでしたが、1,000時間経過後には板の端に赤さびが見られました。クロスカット:336時間経過した頃にはクロスカット部分に赤さびが発生し始めました。1,000時間経過後にはクロスカットがはっきりと分かるほど赤さびが生じ、端部にも赤さびが見受けられました。
暴露試験

暴露試験は金属材や塗装の耐候性を調べるために、長期間屋外に晒して劣化の状態を観察する試験です。一般的な鋼板材料、ステンレスの海岸部における塩害に対しての経過観察を目的として実施。ヤブシタでは、2009年から2019年までの10年間の経過を観察しました。
【試験方法】
各種鋼板の素地と塗装品を屋外に設置し、経過を観察。
実施場所:北海道 日本海側 海岸沿いより200m地点
実施期間:2009年~2019年
比較材料:電気亜鉛メッキ鋼板(ボンデ鋼板)、溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)、SUS
【試験結果】※試験開始より10年後
⇒電気亜鉛メッキ鋼板(ボンデ鋼板)
素地:鋼板の表面全体に赤さびが発生しました。
塗装品:端部に赤さびが色濃く発生し、ビス部分にも濃い赤さびが見受けられました。
⇒溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)
素地・塗装品:状態変化はありませんでした。
⇒SUS
素地:状態変化はありませんでした。
以上の結果から、海岸沿いに近い地域でも溶融亜鉛メッキ鋼板とSUSに錆が発生しにくいことがわかり、どちらも耐食性に優れていることがわかりました。
まとめ
今回は、ヤブシタ製品の鋼板仕様について解説いたしました。
ポイント
・鋼板製は溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)にポリエステル粉体焼付塗装を行っており、高い耐食性があります。
・SUS製は錆びにくい材質ですが、設置環境によって発生するもらい錆びにご注意ください。
・もらい錆のリスクを避けたい場合には、耐重塩仕様鋼板製を推奨しています。
以上の点を踏まえ、設置環境や用途に合わせて材質をご選択ください!
史上初⁉”錆”でお酒飲んでみました!

10月某日、ヤブシタ研究所にて前述の暴露実験で使用した"錆"をつまみに我らがヤブシタ幹部とサビのプロたちがお酒を飲んで語り合いました!12月中には「錆飲み」動画をYouTubeチャンネルに投稿予定です。公開の際には是非ご視聴ください!